映画館が遠いんですよ。

心理的な距離が遠いんです。

アニメーションの映画を観ませんし。心理的距離が遠いんです。

例えば、宮崎駿監督作品が上映になった後に、さまざまな人がどういう作品だったかという論考を一生懸命するので、そこでお腹がいっぱいになる感じです。

ウェス・アンダーソン監督作品は、いつものようにソフトで購入をする予定です。

そして、おそらく永遠に観ることができない作品が存在するようになりました。

Netflixはソフト化の方針がないので、私は観ないんです。

配信の場合は、ハードの規格が変わるとその時点で観ることが出来なくなる可能性のほうが高いからです。

とても残念に思っています。

残念です。

ということで、ベネディクト・カンバーバッチさんの映画で、とても面白かった映画があるので、既にご覧の方もいらっしゃるかと思いますが。

ご紹介です。

Courierというのは、密使のことです。機密文書を運ぶひとのことを指す英語です。

私は知識でしか知らないキューバ危機を背景にした、実話ベースの映画です。

カンバーバッチさんが製作総指揮のひとりとして仕事を手掛けています。

登場人物がある程度限定されているので、煩雑にはなりませんが、その分、キャスティングとキャスティングされた俳優さんの能力が試されるという映画になっています。

この作品はとてもいいです。

カンバーバッチさんは、『シャーロック』で存在感を示したんですが。シャーロックシリーズって、コナン・ドイルの原作の読者からすると、別次元の作品なんです。別次元の作品なんだなと思って観ると、BBC作品ならではの映像の工夫があっていいんです。

この映画のカンバーバッチさんのほうが、演技に広がりがあってとてもいいんです。

え?というところから巻き込まれる平凡なサラリーマンで。

本当に、あー、こういう人いるよなぁーって感じを普通に醸し出すんですよ。

でも、あ、イングランドの人だという矜持があるんです。

映画が進むにつれて、イングランドの人だと思ってしまうんです。

監督のドミニク・クックさんはロイヤル・コート・シアターで芸術監督を務めてらっしゃったそうです。製作総指揮のひとりです。

実話があると、どこまでそぎ落として映画にするのかというむつかしさもあると思うんですが。

核兵器が絡んだ国際的な緊張って碌な結果を生まないという再確認にもなりますし。

最後に、勇気も貰えますよ。

戦争や戦争前夜を絡めた映画を日本で制作すると、古い映画では、戦争中の兵士としての苛烈な上下関係をユーモアで笑ってしまおうという映画だったり、検閲に引っかからないようにする映画だったり、近年になると、ドラマ仕立てにされていて、なんだか、本当の話なのかどうかもよくわからないという映画まであります。最近の戦争前夜を舞台にした日本映画は観ていませんが。近年作ぐらいだと、なんだか大仰すぎて、何も伝わってこないという。過剰な感情を詰め込んでも、だからどうなんだろうという映画が少なくないんです。考証が必要なのに、考証の前提を間違えている作品すらあります。日本の映画も頑張ってほしいですよね。最近の日本映画にこそっとあだ名をつけています。あ、大河ドラマだって。大河ドラマは大河小説から取られている言葉だと思うんですが。『失われたときを求めて』と、どこに類似点があるのか全く分からないですよね。

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