随分以前は、映画は簡単に淘汰されることがなかったので、いろんな国の映画を観ることができました。ただ、ソフトの規格が変わると、その度に昔の映画は淘汰されていき、観ること自体がなかなかむつかしいという映画も出てくるのは、事実なんです。
例えば、『ザ・カップ』という1999年制作の映画があります。実はスポーツを題材にした映画なんです。
ブータンとオーストラリアの合作映画なんですよ。制作はジェレミー・トーマスさん、果敢な映画プロデューサーとして有名な方です。
どこに住んでいる子供でもやっぱりサッカーは大好きなんですよ。チベットの歴史ある寺院の小坊主さんになったって、サッカーが大好きな気持ちは変えられないのです。
お坊さんになってしまった後、世界にワールドカップがやってきてしまうのです。お坊さんになろうが少年のサッカーへの情熱は消せません。
少年のワールドカップが観たいっという気持ちがいろんな人を動かしていくんです。
この映画は本当に大好きです。
実は、チベットの寺院の皆さんが総力を挙げて映画を作ったんです。寺院のみなさんの自助努力で映画ができたという稀有なケースなのです。素晴らしい映画になっています。
実は、2007年くらいにDVD化されたのですが、当時の日本の規格は欧州フレンドリーだったので、北米で制作されたDVDは日本製の再生機器では再生できず、購入を見送っていた間に、blu-rayにもなっています。もちろん、購入しようかどうか、今迷っている最中です。な、の、に。
アメリカではAmazonプライムで観ることができます。日本では無理なのに。

いったい、なんなん日本のアマゾンって、割といつでも、そう思っています。映画をチョイスするときのセンスが悪いのかもしれません。あるいは、映画を観る見識のある人が元々その部署に存在しないのかもしれませんね。
実は、ほんとうに、いい映画なんですけれどね。お坊さんとサッカー。まったく想像がつかない組み合わせなんですが、自然と途中から、応援モードになりながら観てしまう映画になっています。
次はイランの映画です。と言っても、巨匠、アッバス・キアロスタミ監督の映画です。

私の一部を作った監督なんですよ。ちょっと大仰に表現してますが、子供の時に本気で観ていて、かなり影響を受けています。『友だちのうちはどこ?』という作品ですが。代表作です。
イランのとある村が舞台です。主人公のお友達は宿題を忘れてしまったことで、先生にものすごく怒られてしまいます。そして、学校からお家に帰ってくると、少年はうっかり、友達のノートを持って帰ったことに気づくのです。一大事です。宿題は出されていますし、ノートをお友達に返さないと、お友達は先生にこっぴどく叱られる明日を迎えることになるのです。
友達にノートを届けなければと孤軍奮闘する少年の姿を描いています。映画を観ながら、大人はなんて理不尽なんだ、子供にとっては一大事なのに、何にも理解していないとフツフツし、そして、次第に夜も更けていくので、え?どうしよう、お家に帰ることができるんだろうか少年はと、心配をし、それでも最後にとっても笑顔になれるという映画です。
何度でも観ましたし、発売になった時に購入しようかどうしようか悩んだんですが、まだ購入はしてません。
なんだか、観るってなると恥ずかしいなぁーという気持ちも先に立つのです。
それでも、とってもいい映画なのです。
キアロスタミ作品で、一番好きな作品は、『桜桃の味』です。
稀有な映像作品が失われていく現実に、出会い続けています。悲しいなぁーて、そう思います。