最近の英文学に学ぶところです。個人的にはないです。
最近の英文学の学術に学ぶところは、多分、ないです。
私が学んだ場所は厳しく、そして内容が濃すぎたんですよ。関西ですから。
基本的に「イズム」は飛び道具だからダメっと怒られて、でも文学批評は学んでおきなさい、自分で頑張りなさいという場所だったので。
もちろん、先生が手を差し伸べてくださる機会もあったんですよ。
テクストをきちんと読むという姿勢がないと、徹頭徹尾、ものごっつう怒られるという場所ですから。怒られたら、怖いですし。なので、テクストはきちんと読むわけですよ。

文学批評についての概観書は手引書のようなものです。そこから、わからないものに関してはぶつかっていくわけです。
手元にないだけで、結構読み漁りました。
読み漁らないと先に進めなかったからです。
それで、ここ数年に限ったとしても、現行の英文学の現在地に学ぶところって何かあるんだろうか?と思うんです。
ないだろうなーと思います。
冷たいようですが。ないです。

私の先生(複数形)はとても厳しく、同時に、いろんなことに詳しく、そして、振舞いに対しても厳しかったんです。
先生に、そういえば、Clarissa; or, The History of a Young Lady って翻訳出てましたっけ?と聞くと、あー、あれね、Q先生が訳すはずだったんだよ、と聞かされて。え?あの、つまらない話をですか?だから、出版されていないってことなんですかね?と更に聞き、どうなんだろうねー、確かに冗長なところはあるかもしれないけれど、と先生がおっしゃり、私は私で比較的素直な性格をしているので、あのつまらない話って延々続きますし、書簡体ですよ。Q先生は途中でうんざりなさったんちゃいます?とお返事を返したりしました。先生との雑談ってそんなものです。
Clarissa; or, The History of a Young Lady (1748)は、Richardsonによって書かれた小説で、通説だとイングランドの小説の系譜において、インパクトを残したとされる小説です。Richardsonの仕事自体は実は多岐にわたるそうです。

内容は現代の基準を持って読むと、正直面白くはないです。書簡体小説なので、小説の内容が全て手紙で成立しているんです。登場人物は複数いますが、主人公から家族へ、或いは友人へとか。主人公に恋い焦がれて、逆にやってることが当時でもかなり野蛮で、悲惨で、どう擁護したらよいのかよくわからないストーカーみたいな男性の別の人への手紙とか、です。返事もあります。複数の手紙のやり取りだけで、成立させようとしているので、まどろっこしいです。
全部、手紙です。手紙自体は長くないんですが。すべての登場人物がそれぞれの視点で書いている手紙を全部掲載して、近代小説の萌芽のようになっているので、長いんです。手紙には追伸がつくこともあります。手紙として成立しているだろうか?という部分もあります。
デッドエンドで終わります。

当時の人たちからすると、なんて事件が起こっているんだっというのを、いろんな手紙で次々に読むことになったんだろうなーとは思います。さまざまな当事者たちの手紙を次々と読み、いろんな小説上の事実を知ることになるんです。現代人からすると、全部書簡なので、どうせだったら、小説仕立てのほうが読みやすいという感じなのかもしれません。
Web上で読めますしね。Authenticな場所ではないので、URLは掲載しませんが。読むことが出来ます。
長いですよー。1379ページにわたる様々な人たちによる手紙で構成された小説です。
きちんとした版で読みたいという方は、ブリティッシュライブラリーで読めますよ。

The British Library – The British Library (bl.uk)
かなり、後半ですが。一部翻訳してみましょうか。一部だけです。
ベルフォードより、ロバート・ラヴレイス殿 侍史
8月14日 月曜日
君の病状をとても心配している。君を失うのはとても辛い。君がすぐにでも逝ってしまうのなら、昨年の4月の初め、その前の時期であるべきだったと、心からそう思うよ。これは君の為でもあるからね。そして、あの世にも稀な、あの素晴らしいひとのためでもね。それなら、君が報いるべき、人生のもっとも嘆くべき罪はありえなかったはずで。
僕は土曜日に聞かされた。君の体がかなりきかなくなっているとね。そして、これから先のことを知るために我慢をしてこの手紙を書いている。君の所から戻ってきた折に、ハリーが君が大分悪いのは確かだと言っていたよ。だが、僕は、君の分に過ぎた好意で、M卿が君の最悪の事態を考えていると願っている。そうだろう?ボブ(ロバートの愛称)。激しい発熱だそうじゃないか、彼らが言うには。普通ではない、そして、厳しい病状だと。
これ以上は言わないが。ミス・ハーロウとの道行きの果てともいえる。出来れば、病気と共に出来るだけ早く悔い改めてくれ。それが肝心だよ。薬だと思って。君が逝くなら。ほかに心配するようなことはないじゃないか。彼女と君がひとどころで再び会うことはないのだから。
彼女には君の病状は伝えてある。なんて可哀そうなひと!って彼女は言っていたよ。危篤の病状、君ならそう言うだろ?
確かに、危篤な病状ですよ!それなら、M卿にお伝えしていただけるかしら。
神があの人をお守りくださいますように。もし、あの方が亡くなるとしても!
あの感心な女性はそう言っていたよ。それから、ちょっと間をおいてから。
なんて気の毒な人なんでしょう!会って差し上げればいいのかもしれませんが、現れることはないのでしょうし!
僕は、特使でこの手紙を送るよ。というのも、君がどうなるのか先行きを知るのを我慢できないからだ。君の手紙を受け取ってからというもの、うつうつと、考え込んでばかりだ。あまりに気まぐれに満ちている。気鬱だよ。
君の真実の友
ジョン・ベルフォード
訳はかなりざっくりなので、すみません。ごめんなさい。最初に謝っておきます。
読んでいてもわかるように、どこかメロドラマな感じがしますよね。そうなんですよ。本当に。手紙が折り重なったメロドラマみたいな感じです。ベルフォードが受け取った狂気を含むラヴレイスの手紙の末尾は、「さぁーらばだぁー。ジャァーァク。やぁ、ぽっかり口を開いた子犬じゃないか。(あーくび!あーくび!あーくび!) 君のラヴレイスより」と締めくくられています。一応、狂気で締めくくられています。読者が、読みたい、読みたい、このメロドラマの先をというのを、手紙の中で代弁もさせています。
冷静に読んでいると、大丈夫なのかな?と思いますが。
原文を読むことが出来る能力があるので。最近の英文学から特に学ぶ点はもうないと思います。読みたい専門書はあるんです。ただし、修辞が消えてしまっている可能性があるんだと考えると、多分、読んでいて悲しくなってしまうんだろうなぁーと思い、購入していません。
修辞が消えるって、悲しいものですよ。その先生の本当の文体に触れていると、編集者がわかりやすく書き直してくださいという鉈のようなものが介在した後の文体って、読んでいて辛くなるんですよ。
やだなぁーって思います。
世の中の編集者の読書量ってさぞかし貧困なんだろうなぁーと思っています。読書あるのみですよ。いまからでも遅くはないと思いますよ。