気になること。

NHKが衛星放送でお昼にクラシック音楽の、特に室内楽を特集した番組を放送してたことがあったんです。

結構前の話なんです。

わたしは案外とクラシック音楽が好きなんですよ。

どれくらい好きかというと。

そのNHKの衛星放送の室内楽の番組を毎日録画するくらいには好きなんです。

あの時のNHKの姿勢は好きだったんですね。

果敢に難曲に挑む、世界的な名声を誇るピアニストの等身大の演奏をそのままきちんと放送していて。

素晴らしい演奏は、本当に素晴らしく。

あ、またミスタッチ。え?あ、どうしようという演奏も等身大で放送だったんです。

その折に、お名前は申し上げられませんが、度々日本にいらしては、ベートーヴェンがなんのために作曲したのか、誰にもよくわからないというピアノソナタがあるんですね。Beethoven, Piano Sonata No.29 in B-flat Major, Op.106 “Hammerklavier”という曲なんですが。そのピアノソナタに果敢に挑んでは、聴衆を不安の渦に巻き込んでいかれるんですよ。

毎年、決まって。

毎年、今年こそって思いながら聴いてました。

聴きながら、これは実際に演奏されるピアノソナタとしては成立が困難になっているのかな?と思ったり。ベートーヴェンの頭のなかだけで演奏されるはずのピアノの音色が成立をしていて、実際に演奏するピアニストではその再現は無理になってしまっているのだろうか?ピアニストはどうやって出版された譜面を解釈していくんだろう?譜面にフィクションが書き込まれていたら、演奏はむつかしくなるはずだし。ベートーヴェン自身は譜面に書き起こすときに、自分が誰も演奏できないピアノソナタを作曲していることになるって思っていたんだろうか?

ベートーヴェンの頭のなかでは美しいピアノの音色で構成されていたのだろうか?

譜面を出版して、誰かに再構築を頼みたかったのだろうか?

ベートーヴェンの意思はどこにあったんだろう?目の前の演奏はこんなにも困難を極めているのに。

個人的には演奏を聴いていても、こちらが疲れてきたり、緊張してきたり。

なにが正解なのか途中から、もうわからなくなったりする、そんなピアノソナタなんですよ。

年に数回、YouTube.comで探して聞くんですが。

これらの素晴らしいピアノソナタを聴いたとしても、時空を超えて、難聴を何かの(そして誰も見当がつかない)ミラクルで乗り越えたベートーヴェンさんが聴いたら。どう思うんだろう?って。

たまに思うんです。

度々、来日なさっておられた著名なピアニストの方は、緊張もおありだと思うんですが。ミスタッチは避けられないんですよ、やっぱり。YouTube.comの演奏のようにはいかないんです。

普通の演奏会なので。

それでも、ベートーヴェンさんはそれを怒ったりはなさらないと思うんですよ。

だって演奏なさっておられるのは名高いピアニストの方なので。

あ、思っていたのと違うんだ。ひとが生身で演奏すると。ここは難しいのかーって。

案外、そっと譜面を直そうとなさるんじゃないのかな?って。

ベートーヴェンさんだから、きっとちゃんとした譜面にしなければって思うんじゃないのかな?って。

でも、一部を直すと、結局、全体の構成に結局波及してしまい、全面的に書き直しになったどうするんだろう?とも思うんですね。

思わず、力が鍵盤に伝わりすぎるのは、日ごろのベートーヴェンさんがやりそうなミスだったりして。

案外とそれが譜面に書き起こされていたりして。

アクロバティックな演奏をなぜピアノソナタに求めたのだろうっと。

ベートーヴェンさんも演奏を聴きながら悩むのかもしれませんよね。

あれ?って。

演奏会を静かに席で聴いていたベートーヴェンさんもどうしてこんな演奏になってしまったんだろう?どうやって直したら、ちゃんとした演奏になって、目の前の悲劇をとりなすことが出来るんだろうか?とひとしきり考えるんだと思うんですね。

未来の名ピアニストを崖っぷちから突き落とすために譜面を書いたわけはないからです。

そして、そのままそっとステージに上がってピアニストのわきに立って譜面をひょいっと取り上げて、沈思黙考した挙句、大体、こんな譜面書いたかな?って、あーあ、思い出した。ちょっとトリックをしかけたんだよなー。どうしよう、ミスタッチというかアクロバティックな部分から書き直すとすると、あのトリックをどうしたらいいんだろう、うーん、悩ましい。全体の構成が変わってしまう。

おもむろに、ピアニストの労をねぎらうのかもしれませんよね。笑顔で。

この譜面を解釈して弾きこなそうなんて、その思いつきが素晴らしいよっという笑顔を向けるんだと思うんです。

そして、終わったことだからもういいやって、取り上げた譜面をきちんと直してピアニストの前に置いて、裏口からそのまま逃げちゃうのかもしれませんよね。

ベートーヴェンさんは。

実際に、足取りも軽く逃げ出しそうな気もしますよね。

みんなで取り残されて、どうしようってなりますよ。

結局、大きな謎がたくさん残されるんですよ。

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