バーミンガム美術館にある、1898年に描かれたThomas Hardyさんの線画なんですが。
え?Hardyって、あのHardy?線画が残ってるの?え?となっています。
ただ、同姓同名は英語圏でもよくみかけられることなので。実際のところは、よくわかっていません。

ロンドンにナショナルギャラリーという場所があって。たくさんという言葉がむなしく響くぐらいの大量の絵画があるんです。
一生懸命に絵画を見たんですが。
存在しない絵画を見たようなんです。
定期的に所蔵の絵画を調べるんですが、二度と探しだせないんですね。わたしは展示されている絵画をみたんですが。
Joseph Mallord William Turnerという画家がいます。イギリスが誇る画家ですが。
有名なのは、『雨、蒸気、速度――グレート・ウェスタン鉄道』(1844)です。
Turnerの作品は大好きなんです。Turnerの絵画があるセクションで、タイトルに“Valley”という言葉が使われている絵画をみたはずなんです。
習作なのか、完成品なのか、途中で描くのをやめたのか説明もなにもなかったので。
それでも、ざっざっと音を立ててなだれている谷のようにもみえて。
不思議な絵画だったんです。

これは、 John Ruskinによる、Cascade de la Folie, Chamonix(1849)です。
定期的に探しても出てこないので、いったいどこでみたんだろう?という幻の絵画になっています。多分、ロンドンでみているんですが。記憶にあるので。
もう一枚の記憶のなかだけにあって、存在するのかどうかわからないと思っていた絵画です。
実はみつけました。
存在をします。ですが、どこにあるのかはわかりません。
現在は個人蔵になってしまったそうです。
‘Portrait of a Man Walking’(1953)です。
実際の絵画をみましたが。Baconは動きを絵画のなかに取り入れる画家なんですね。男性が実際に動いてみえるんですよ。階段かなにかをのぼってこちらに向かって動いてくるその動きが絵画のなかに確実に存在するんです。

この絵画はGustave CaillebotteによるParis Street; Rainy Day(1877)ですが。
歩いている風景ですが。歩行者全員が止まってもみえます。この種の絵画というのは実物をみないと判断できないんですよ。
実物を眼前にすると動きというのが伝わってくる場合があるんです。
Francis Baconの‘Portrait of a Man Walking’(1953)はテートでみたと思うんですが。
露骨に動きが絵画の中に閉じ込められるように存在をしていて。
あっけにとられた記憶があります。
Baconはすごいなって思った絵画です。
絵画だけは本物をみたほうがいいです。日本だとみる機会というのが限られますが。本物にはかなわないんですよ。懸命にみて克明に記憶に刻んでも個人蔵になってしまい、みる機会を失うことがあっても、記憶のなかに絵画は残るので。やはり、みたほうがいいんだと思います。