学生のときに、出かけた先で、だれにもバレないけれど、こころのなかで静かに混乱するということは案外あったんです。
絵画でも、音楽でもアプローチがしやすい立地だったので、出かけていき、窒息しそうな状況になり。
帰宅時に、こころを落ち着けるために、公共交通機関のなかでベーシックなipodのなかに詰め込んだ音楽を聴いていました。
教授がお好きなグレン・グルードを、なぜか私も好きだったりするんです。
まったくの偶然なんです。
全然別の経路で、わたしはグレン・グルードを好きになり、後で、え?教授がお好きなんて知らなかったという。

わたしにとっては、波だった気持ちを、岸に叩きつける波頭のように荒れ狂っていく気持ちを落ち着けるための音楽なんです。
公共交通機関のなかで、渋面をつくりながら、必死に気持ちを落ち着けようと耳を傾けていたんです。
気が付くと少し、波も穏やかになり。そのうち凪になり。
水面に空の青さが映るようになっていきます。
気持ちが落ち着いてから、べつの音楽を聴くようにしていました。
グレン・グルードのタッチにはいろんな力が潜んでいるのかもしれませんよね。
誰かと出かけるときもあったんですが。できるだけひとりで出かけていました。誰かと出かけると混乱する気持ちは蓋で密閉するように隠さないといけませんし、誰かの話にうんうんと頷かないといけないですし。帰宅後に疲れ果てるときもあったので。どうせ混乱するんだったら、ひとりで混乱して、それを音楽で沈めて、鉄面皮で帰宅したほうが楽だったんですよ。