つまり、一般受けは全くしません。
それでも素晴らしい映画は存在します。ヨハンソンさんの死去は残念でしたが。作品を観ることはできます。
William Olaf Stapledonは、いわゆる「大文字の文学」の周縁に存在する作家になります。スピノザに影響をうけた哲学者だそうです。私はスウィントンさんの素晴らしい朗読でしか、この作品については触れていませんが。
最初で最後の長編映画として残こるそうです。完成度はかなり高いです。
イタリヤのアドリア海を挟んだ大陸側には、以前ひとつの国が存在していました。ユーゴスラビアという国です。泥沼の内戦を繰り広げ、現在では、沢山の国々へと生まれ変わっています。
映像として取り入れられているのは、ユーゴスラビアで造られた「スポメニック」という戦争記念碑になります。英語に直すと「モニュメント」になります。ユーゴスラビアは共産圏だったんです。第二次大戦後に、ユーゴスラビアでの複雑でむつかしい民族問題の存在を上書きするために、第二次世界大戦後の記念碑として、端的にいうとプロパガンダとして盛んに建設されたのだそうです。
意図的にこの場所が選ばれたのだと思いますし。ユーゴスラビアのプロパガンダとしての「スポメニック」が、かなり微細な使われ方をしています。理由はヨハンソンさんの映画音楽としての作品と融合しないと映画として成立しないからです。本当に音楽と映像の関係性が精緻に組み合わさっています。
スウィントンさんの朗読は質がかなり高いので、映像と音楽の関係性を壊すことなく、その映像美を物語化することに成功しています。
精神的に疲れ果てたときに、観たのですが。心が救われる感覚がありました。
DVDなどのソフト化はまだされていないようです。
映画を観て久しぶりに感動をしました。
Amazonでは観ることができます。興味深かったのが、批判的なレヴューで「オカルト」、「宗教的」という言葉がみられたことです。原作はSF作品なので、映画としては成功しているともいえると思います。1930年代にサイエンスフィクションが英国で使い古された陳腐な表現として使われる可能性は低いと思います。英国でのSFの祖はH・G ウェルズです。そして、スピノザの影響受けたSF作家はおそらく、英国ではステープルドンだけだと思います。パリでの講義の後にユーゴスラビアに行く予定をキャンセルしているんです。その後に心臓発作で亡くなるんです。音楽を演奏しているのは、BBCフィルだそうです。
日本で、オラフ・ステープルドンの書作がいままで読まれなかったというのは嘘です。早川文庫に『シリウス』があったんです。子供の時に、図書館で借りて読んでいます。SFなのかなぁーという本です。シリウスは犬の名前なんです。
重版はしているはずですよ。絶版って何?ってなっています。
辛い時に、あっという出会いがあるのは幸いなことだと思います。本当に辛かったので、この映画にはかなり救われました。映画館で観たかったです。
