どこから来たのだろうって思う時。

本を読む時間を大事にしているのですが、文庫の整理をしていて、この本はどこからやってきたのだろうっとふと立ち止まる本というのが出てくるんですね。

いくつかあって。そのうちの一冊なんですが。

エックハルト説教集 – 岩波書店 (iwanami.co.jp)

当時、本屋さんでこの文庫本を手に取って、レジに行って購入したのはわたしになるんです。

そして、きっかけが思い出せないという。

ヘーゲルの『精神現象学』に関しては、秋が深まってから購入予定なのですが、『論理学』が文庫になればいいのにって思っています。本当に思っています。どこかのちくま学芸文庫でも岩波文庫でもいいので、頑張れないでしょうか?

じゃあ、ヘーゲルだからエックハルトだったんだろうかとも思っていて。

有名なのはハイデガーによる引用ですが。引用の周辺として『エックハルト説教集』を読もうとしていたのかというと、それはないんです。

理由は、私がドイツ語ができないからです。仮にドイツ語が理解できた場合にはそういう経路になるのかもしれませんが。

スコラ哲学のなかのひととして読んだのかな?とか。ジョン・ロックが凄まじいスコラ哲学批判を展開しているから、読もうと思ったのだろうか、とか。

13世紀から14世紀の間に、欧州では「大学」という機関が整備をされていく歴史があるんですね。

スコラ哲学もそこで多面性を持つのだと思うんですが。エックハルトは実際にドミニコ会からパリ大学に派遣されていますし。

そこで、思い出したんです。あ、ドゥンス・スコトゥスだと。だれ?って思う人もいると思いますが。

まぁ、ここまで読んでいても何の話なのか皆目見当がつかないというひともいらっしゃると思います。

ドゥンス・スコトゥスというのは、スコットランドのひとで、スコラ哲学という学問に秀でた中世の神学者になります。イングランドの文芸でロマン主義という隆盛があるんですが、そこで名前が出てくる場合があるんです。

スコラ哲学自体は欧州に広がる中世の修道会を背景として、アリストテレスの業績などに関して論考を試みるというキリスト教神学のなかの哲学的な志向をさすのですが(誤解を恐れて言及してますよ)。

この修道会を背景とした欧州での学域の広がりというのが、後に哲学や文芸に影響を及ぼすことになるんです。ドイツの哲学者は、スコラ哲学の影響を少なからず受けているひとがいます。

私が知りたかったのは、ドゥンス・スコトゥスなんです。文庫本で今も当時もテクストとして綿密にとりあげるものはないんじゃないのでしょうか?調べようとした当時、翻訳書でも反論はあったんですが、これは読むに値する本でもなさそうだと読まなかったんですよ。その著者は写本を読み解いたんだろうか?とも思ったので。

ドゥンス・スコトゥス自身の写本などがあっても、読みこなせるような技量は、私には皆無になります。当時の修道会の知的組織って欧州全体に広がりがあるはずで、となったときに、エックハルトの翻訳を見つけて、片鱗だけでもどうにかならないだろうか?そうでもしないと、自分のなかで像が結べないと悩んで、文庫本を購入したんだと思います。

最近、やっと、トマス・アクィナスの『神学大全』の文庫が岩波文庫から出ていますが。

当時は、闇の中を探る感じだったんですね。

クラウス・リーゼンフーバー先生という中世の思想史に強い先生の翻訳は当時もあったんです。日本で教鞭をとってらっしゃいましたしね。昨年、天に召されてしまったそうです。日本語で教鞭をとり、本はドイツ語で上梓なさるんですが。

中世が広くっても、ドイツとイギリスでは地理的に大分違うし、結んでいるのはパリの大学になるけれど、違いはあるのだろうか?とも思いながら。

この本を手に取ったみたいなんです。

再読の最中ですが。少しだけ引用をしてみます。

最も低きものが最も高きものに向かい合っているかぎり、最も高きものが最もひくきものへといつでも流れ込むというのがどんなものにおいても自然なことなのである。というのも、最も低きものから最も高きものが何か受け取るということはけっしてなく、その逆に最も低きものが最も高きものより何かを受けとるからである。神は魂を超えたものであるために、つねに神が魂の内に流れこむのである。(中略)人が神のもとにとどまりつづけるかぎり、人は神から直接に神的な流入を受け取っているのであって、恐れのうちにも、愛や苦しみやうちにも、また神ではない何か別なもののもとにもけっして立つことがない。さあ、神のもとへあなたを徹底的に投げ出しなさい。そうすればあなたの神的流入をすべて純粋に受けとることになるのである。

エックハルト説教集

こういう考え方が敷衍されるとハイデガーの「投企」に近づくのかもしれませんし。スコラ哲学って奥深いなーと思っています。

そして、私が知りたかったドゥンス・スコトゥスからは遠いんだろうなとも思います。

読書の秋もいろいろですよ。

error: Content is protected !!