その年はとんでもないことに、秋が3、4日で終わるという、変な季節の変化だったんです。
秋が来たなーと思ったら、5日たたないうちに冬が来るという。
学校で季節の読み間違えをしましたというひとにたくさん出会ったんです。
3日前だと、季節らしい服装なのに。
今日はもう寒々しいという。
当日、授業があって学校に来ていたすべての学生にとっては不可抗力だったんです。
寒々しいのなんて知ってるわ、寒いわっという雰囲気を漂わせながら、ふてぶてしく颯爽と歩いているひとまでいました。

わたしはなんとかその状況をまぬかれたんです。
理由は、前日に夜の8時くらいまで居残って勉強をしていたんですが。
帰りがけ、ものすごく冷えていて。夜のうちに季節が変わったのを知っていたんです。
トレンチ着てたんですが。がちがちと震えてしまうくらいに冷えていて。
昼間と季節が違うって。
次の日に、突然に季節変わったの学校に来て知ったわ、まだ、秋やと思ってトレンチ着てんねんて。うっさいわっと颯爽と歩いている人の気持ちを、その前の晩に味わっていたからなんですよ。
一日で冬になるって、本当にあるんだって。
案外と人で埋まっている電車で帰りながら、みんな黙ってるけど。秋の一日のはずなのに、夜になったら冬になってるとか嘘やんかぁーって思ってるんやろうな。車内のひと全員が。
そう思ったりしました。車内にいるひとは、みんな素知らぬ顔をしていましたが。
きっと全員で、今夜中にコートは出しておこうって、統一した見解になっていたはずです。

帰宅後、部屋を暖めて、速攻でコートを出してブラシをかけたのはいうまでもありません。
天候が急激に変わるのって、いまにはじまったことでは案外ないんですよ。