海の、伝説の、複雑なひとたち。

セイレーンは海にいるんです。伝説では。

孤島のなかの岩の上に棲んでいて、美しい声で歌を歌い、航行する船乗りを惑わせたそうなんです。

『オデュッセイア』にもでてくるんですが。ホメロスが描写をしておらず、どんなひとたちなのかはわからないという。読者がこんなひとたちなんだろうか?と思い浮かべる自由があるので、読む人々のオリジナルが介入できる余地があったりします。

それでも、人が描き出した歴史は古く、紀元前から存在をしているんです。

人魚と同一視されることのほうが多いそうなんですが。

実は鳥に近しい姿なんだそうです。

紀元前までは男性のセイレーンも存在したそうなんですが、淘汰されてしまい。ギリシャ美術では、女性の胸像に鳥の羽をもち、脚はうろこ状の鳥といった姿なんだそうです。

そして、更にむつかしいことに、セイレーンのような伝説の海の謎のひとたちは、地中海から小アジアから、ヨーロッパまで存在をしてしまうんですね。広範囲で記述があり、また、記述が残っているそうです。名称と外見が異なるだけで、概念が似通っているそうなんです。

7世紀末から8世紀初頭の間にラテン語で書かれたとされる『怪物の書』(『リベル・モンストロルム』というタイトルになるみたいです)という作者不詳の目録には、いわゆるセイレーンの記載があって、そこでは、女性の体で魚の鱗状の下半身という、人魚の姿として描かれるそうです。

どちらの姿にしても、どこにいても、セイレーンは海に住んでいて、歌声で船乗り達をを魅了して、眠らせて、死に至らしめるそうなんです。

大きな海原で過酷な労働に従事しているときに、美しい歌声を聞いたような、そんな幻聴に襲われた後に疲労のあまりに気を失ったり、倒れることによってはじめてわかった病気で結果的に臥せってしまい、そのまま昏睡状態になってしまう船乗りのひとたちがいたのかな?って思ったり。その場で倒れてしまった船乗りの役割が極めて重要だった場合には、船全体の運命が左右されかねないような事象もあったのかなって思ったり。

似たような海難事故が紀元前からあって、地中海どころかヨーロッパ全体に広くあって。

情報伝達の便宜上の都合で、セイレーンが生み出されて、その存在が広く広がっていったのでしょうか?

海難事故が頻発する海上の場所には、セイレーンがいるから、気を付けて航海をするようにという物語が作られて、その話が航海を行う船乗りの恐怖心を掻き立てて、安全な運航へと導くこともあったのかな?と。

体の一部が鳥だったり、魚だったり、大変そうですが。存在感は美しい歌でしかないんですよ。セイレーンは。

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