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ウンベルト・エーコが小説に書きそうなことが、実際に起こることがあるんだなーっと驚いてしまいました。しかも、小説ではなく事実で、これからイギリスの史学が書き換えられていくことになります。
史学が書き換えられるということは、文献学や、文学などもその煽りを受けることになります。
凄い発見なんですよ。一部、引用しますね。
何世紀もの間、学者たちはこれらの手紙は誰の手も届かないところに隠されているか、すでに破棄されていると考えていた。ところが、このほど3人のアマチュア暗号解読者が、それが誤りであることを証明した。
イスラエル在住でフランス人のコンピューター科学者であるジョージ・ラスリー氏、ドイツ人のオペラ教授であるノーバート・ビールマン氏、日本人の物理学者である友清理士氏の3人は、最近、メアリー・スチュアートが暗号で書いた50通以上の手紙を発見した。使われていたのは彼女自身が考案した洗練された暗号で、文字数の合計は5万字にも上る。3人の“探偵”は、コンピューターソフトウエアと伝統的な暗号解読技術を巧妙に組み合わせてメアリーの暗号文を解読し、彼女とその政治的環境について多くの新情報を明らかにすることに成功した。
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そして、もう一箇所、引用しますね。
2018年、ラスリー氏はフランス国立図書館が所蔵するデジタルコレクションを閲覧して、余暇に解読できそうな未解決の歴史的暗号文を探していた。そして、16世紀初頭のイタリア語の書簡を集めたファイルの中に、一連の手紙を発見した。この暗号文は、すべてが記号(複雑に蛇行する線や曲線、ラテン文字やそのバリエーションなど)で書かれていたため、いつ誰が書いたものなのか、その内容が何語で書かれているのか、何も分からなかった。そこで彼はビールマン氏と友清氏に協力を仰ぎ、暗号解読に着手した。
3人のアマチュア暗号研究者は、友清氏が運営する歴史的暗号を扱うウェブサイト「Cryptiana(クリプティアナ)」の投稿仲間で、それまで直接会ったことはなかったという。
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余暇の気晴らしが、世紀の大発見に繋がったんですよ。AIまで駆り出して、AIを無駄にしたそうです。

なぜ、16世紀のイタリヤ語の書簡に図書館で分類されてしまったのか、まず、そこが難関ですよね。
イタリヤ語の分類であれば、イタリヤ語なんだろうなと思って、そこを基本にAIのプログラムを組むことになるんでしょうし。

大体、暗号文書であることは察しがついたとしても、誰が書いて目的は何かまで全くわからないわけですからね。しかも、諸先生方に割り振られる時間は、夜と週末だけなんですよ。イタリヤ語の書簡に割り当てられたのであれば、スペイン語とラテン語で試すのは上策ですよ。
で、AIがはじき出したのは、結局、16世紀にイングランドを中心に中英語が使われていたように(同時期のスコットランドは、また、別の話になるところがむつかしいんです)、フランスで使われていた当時のフランス語になります(私の理解の範囲外です。本当にすみません)。

映画の『エリザベス・ゴールデンエイジ』をご覧の方で、細部を記憶なさっていらっしゃる方は覚えてらっしゃると思うんですが。メアリーが小さなメモのようなものをもっていましたよね。明らかに秘密の手紙という感じのちいさな手紙です。ウォルシンガムが最終的にメアリー本人に突き付ける小さな手紙がありますよね。あれが、暗号文なんです。史学の人に質問しても、取り合ってもらえなかったのが悲劇のはじまりですよ。誰かが、あーありえるかもねっという発想を持っていたら、当時のフランス語の可能性を示唆出来たはずです。
私の専門は別の時代で、16世紀は素人ですし、16世紀の宗教学の勉強からは逃げたいと思ってしまうほうなので本当に申し訳ないんですが、そんな私ですら、メアリーはフランスに居ましたよっ、当時のフランス語はどうでしょうか?と云えるくらいの知見はあるんです。専門外の私がこれではないでしょうか?といえるくらいなのにーっ。
そして、3人の先生方は丸1年間無為に時間を過ごすことになったそうです。
余暇の趣味なのに、気の毒すぎますよ。
気の毒な話ですよ。
本当に、そう思います。
だって、当時のイギリスの宗教学の地政学をも塗り替える可能性を秘めているかもしれないんですよ。

史学の読みかえから始まると、波及はとんでもないことになりますからね。大変だなぁーと思います。
余暇なのに、諦めないという姿勢が凄いですよね。おそらく中世のフランス語だと思います。当時の英語だと、その時にウォルシンガムじゃない人にも、解読される危険性はあったわけです。当時はスペインとの緊張感もありましたし、当時のスペイン語も少しは援用してそうなんですが、どうなんでしょうか?当時のフランス語のみの暗号化なんでしょうか?詳細はこれから判明するんですよね。メアリーはカソリック圏のひとですから。映画では、演出上の問題で短くなっていますが、ロンドン塔に19年も幽閉されるって嫌な話だと思いますよ。(註1)ロンドン塔に行って牢獄の中の見学もしたことがありますが、幽閉された人が、幽閉期間があまりに長いので、壁に微細に紋章のようなものを彫り込んでいたり、しかも、かなり深く掘りこんでいて、気の毒にしかならなかったです。あんな塔の、あんな部屋に延々と幽閉されるのは、正直、日本人でも嫌だなぁーって思いますよ。当時の歴史の緊張感については、後の様々な文学者が、様々な発想を残していますが。気の毒だなぁーとも思います。イメージと現実は異なりますからね。日本の戦国武将のような話ですが。戦国武将は、別の国の暗号文まで使いませんし。現代の日本人でも専門家じゃないと読み解けませんもの。筆記体って。日本でも古くなると本当に何が書いてあるのか、全く判読できませんものね。しょうがありませんよ、現代に生きてますから。徳川家康が当時、どんな発話をしていたのかなんて誰にも分からないわけですよ。昔の三河の古い方言で、最終的に日本の統一できる部分に関しては頑張ってしまうんですから。最終的には、どんな発話をしていたのかさえ、現代の私たちには理解できないんです。言葉ってむつかしいですね。すみません。大河ドラマは観ていません。私の家康公の勝手なイメージは「常識人」です。自分から戦闘を仕掛けることはあまりなく、えーっという状況の武田家臣団を受け入れて、信長が亡くなると、茫然自失に陥り(頼りにしてた家族が亡くなるも同然だったのかもしれません)、豊臣政権ではとことん頼りにされ、秀吉が亡くなると、粛々と朝鮮半島から派兵していた軍を撤退させ、考えつくしたうえで、豊臣政権を終わらせ(家康個人で終わらせたわけではないと思います)、若干嫌がりながらも、朝廷の意向には従わざるを得ず、もう、戦争は嫌だと、戦争の元になりそうなものを全部やめさせて、姫路城だけ残して、城を小さく作り替えさせたり。健康な体作りが趣味で、薬も自分で作ったり、なんてまめな人なんだろうって思います。責任感の塊なんだと思っています。大河ドラマのイメージと違っていたら、ごめんなさい。
(註1)メアリー違いです。すみません。ロンドン塔で斬首されたのは ことジェーン・グレーです。Nine day Queenと呼ばれることもあり、実質、9日間だけイングランドの王になったんですが。bloody Maryこと、メアリー1世によってロンドン塔に幽閉された後に斬首されています。上記のMary Stuartですが、スコットランドのメアリー1世になります。後年、イングランドで暮らして、Fotheringhay Castleで斬首され、Fotheringhay Castleはその後、荒廃してしまったそうです。夏目漱石の『倫敦塔』を読み直していて間違いに気づきました。実はドラローシュの絵画も観ています。学生時代に同じ勘違いをして、怒られたことも思い出しました。認知の歪みって恐ろしいですね。まぁ、単なる記憶違いですけれどね。